POPPOの撮影隊 思い出話

もう、15年以上前になりますが、映画やテレビドラマの仕事をしていました。記憶が怪しくなる前に、思い出話として、書きつづっておくことにしました。

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疵 その1

東映と言ったら・・・・

ヤクザ映画なのである。

まあ、これも、本家本元は京都太秦撮影所なのであるが、東京でもネオヤクザというか、ニューヤクザというか、そう言う映画を撮っている。

この「疵」という映画。

実在の人物がモデルなのである。
伝説のヤクザと言われた「花形敬」である。

そして、この映画の企画は・・・
「花形敬」の所属していた組の元親分なのである。

この方、現場にもよくおいでになり、スタッフにも優しいのである。

しかし・・・

ふとした瞬間に、目があったりすると、背筋がゾ〜〜〜と、寒くなったのは僕だけだったのだろうか?

キャストは、この「花形敬」役に陣内孝則 。
妻役が、藤谷美和子。
友人役がジョニー大倉、渡辺正行。

企画(とはいうものの、位置づけとしてはプロデューサーに近かったと思う)をした、元組長さんの、現役時代、すなわち、組長役に岩城滉一 である。


撮影中には、人止め、車止めという、お仕事がある。

つまり、カメラを回している間だけ、通行止めにご協力いただくのである。

しかし、皆、用事があるから通ろうとしているわけで、ここは平身低頭、頼み込むしかないのである。

撮影は、時代背景を考え、おのずと、猥雑な町中での撮影となる。

そして・・・

そう言う町には、いまだに現役の皆様が居るわけで・・・・

赤灯と無線機を持った僕が、車止めをしていると、いかにも!!!という、キラキラした部品がちりばめられた外車がやってきた。

スモークウィンドウが下がった向こうには、案の定、一目でその筋の方と分かる人が・・・

「兄ちゃん、何やってんだ?」
「ご迷惑おかけしております。映画の撮影なんです。」
「ほう!役者は誰がでてんだ?」

このあたりは、対応が難しいところである。

僕は、とりあえず、その日、現場にいない役者さんの名前を答えたような気がする。

「うちの事務所には、あいさつ来たのかなぁ〜〜〜。」

物言いは、穏やかである・・・・

「はい、担当者がご挨拶に伺ったはずです。」

制作部のそこそこランクの高い人が、実際に行ったはずである。
こういう、繁華街のようなところでは、警察に申請する道路使用許可以上に、ねまわし は、必要不可欠なのである。

「そか、誰か、役者が居たら、あとで事務所に顔出すように言っといてな。」

そして、キラキラと派手な、高級外車は、走り去った。

実は、この映画。

撮影に当たって、プロデューサーから、注意事項があったのである。

「町中での撮影中に、何の映画か?と聞かれても、「花形敬」の名前は、絶対に出してはいけない。」

「?」

「花形が死んでだいぶ経つが、当時、ひどい目にあって恨んでいるヤクザは、まだいるからな。それが、花形が主人公の映画なんて分かったら・・・・と、言うわけだ。」


ヤクザ映画は、怖いのである。

テーマ:邦画 - ジャンル:映画

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